自動車メーカー工場稼働停止
トヨタは、10月に国内工場ラインの稼働を一時的に停止し約30万台の減産を行うこととしました。そして、年間生産計画台数を下方修正し900万台程度にすると発表しています。
原因は東南アジア都市のロックダウン
原因はコロナ感染拡大の影響で東南アジアの都市がロックダウンし、その都市の部品工場が閉鎖され供給不足となったためです。
他の自動車メーカーの稼働停止は半導体部品の不足を主原因としていますが、トヨタの場合は半導体サプライヤーとの契約上問題ないのか半導体の逼迫についてはあまり言及されていません。
半導体製品検査の後工程を行っていたマレーシアの工場と、ワイヤーハネス(自動車電力供給の電線束)を製造していたベトナムの工場、ここが震源地となり日本の製造ラインが停止となったとニュースはいっています。
サプライヤーが特定の地域に集中
元々中国に部品工場はあったのが、人件費が高騰したことや政治的要因もあり東南アジアに移ったという経緯があります。効率化を求めた結果、サプライヤーが特定の地域(東南アジア)に限定していたために起こったことでしょう。
結局、グローバルサプライチェーンが最適化・効率化され、この場合労働力の安い東南アジアに部品提供工場が集中しているために、このようなことが起きたのです。
事業継続(BCP)はリスク分散
事業継続(BCP)するためには、部品工場を東南アジアだけに集中するのではなく、他の地域にサプライヤーを用意する、つまり工場を分散化する、ということになりますが、簡単に分散化できるとは思えません。
何しろ工場を作るのに莫大なコストがかかりますし、労働者を教育するにもお金と時間がかかります。
事業の最適化と事業継続(BCP)はトレードオフ
事業は、最適化・効率化を求めればどこかに集中してしまうことになる。そして集中してしまった所で偶発的なことが起これば事業そのものが止まってしまうことになる。
事業継続するには、一か所に集中するのではなく分散させなければいけないわけですが、コストや時間がかかる、つまり効率的ではない、最適ではないといえるでしょう。
事業最適化のための効率化と事業継続のための分散化はトレードオフの関係だといえます。
そして、不測の事態が起きれば事業継続(BCP)が叫ばれ、リスク分散を検討したりするわけですが、事態が収まってしまうと何も問題なくなってしまうから、コスト削減や効率化・集中化に戻ってしまいます。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」といったところでしょうか。
事業継続計画(BCP)を策定しても、大きな投資が必要なことなると、実行するのは難しいでしょうね。
意思決定者が責任をとれるのか、ということになりますので。
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