請負業者決定手続きでの必要条件
役所で何か工事を業者に請け負わせる時、公平性とか透明性、競争性、経済性の下で業者を決めなければいけないことになっています。
そして、請負業者決定において、
(1)履行能力がある請負業者であること、
(2)担当者と業者が癒着して不正をすることができない仕組みが担保されていること、
が必要です。
業者決定方式には、入札方式、見積もり合わせ方式があります。これらの方式が二つの必要条件の下でどうなっているか、確認してみました。
入札方式の場合
多数の業者を一つの場所に集め、同時に金額を書いた札を入札箱に入れ、最低金額の業者で決めるというものです。
入札には一般形と公募型があります。
一般競争入札
一般形入札は、参加資格があればどんな業者も入札に参加できます。しかしながら、様々な業者が参加するので、施工能力のない業者が最低価格で落札し結局履行できない場合があります。
それを防ぐためにあるのが、公募型入札です。
公募型競争入札
これは、入札参加資格者の内一定の条件を満たす業者を公募で募る方法です。その中から複数者を選定し、競争入札を行うものです。一定の条件を満たしているから、施工能力があるはずなので落札した業者は履行してくれるだろうということになります。
更に確実に施工能力の高い業者を選びたい時にする入札方式が、指名競争入札です。
指名競争入札
これは、役所が施工能力のある複数業者を選び、競争入札への参加を指名するというものです。あらかじめ、履行能力のある業者を指名しますから、どの業者が落札しても確実に履行するはずだという仕組みです。
この場合、担当者が指名業者を恣意的に選ぶことも考えられ、担当者が業者と価格調整し不正をするおそれがあります。だから、業者選定には担当者まかせにするのでなく、第三者の審査を通すといった仕組みを作っておく必要があります。
入札方式は最近、電子入札が導入されていますが、手続が複雑なのでもっと簡単な方法として見積もり合わせ方式があります。
見積もり合わせ方式の場合
役所の担当部署が、複数業者から見積書を取り寄せ、業者を決定する方法です。最低価格だけで決定するのではなくて、仕様書や技術提案等総合的に評価して決定することもあります。
この場合注意するのは、指名競争入札と同じで、見積書を取り寄せる業者が担当者の方で勝手に決めていないかということです。担当者が馴染みのある業者に見積書を依頼した場合、担当者の指示で見積もり価格調整しようとすればできるわけですから不正が起こる可能性があります。また、担当者が特定の業者に他の業者の見積書を取りまとめを依頼することも考えられます。
ですから、見積書を依頼する複数業者を決めるときは、担当者まかせにせず、他の第三者の審査を通すといった仕組みが必要でしょう。
公正性・透明性を求めると履行の信頼性が不足、確実な施工能力を求めると不正のおそれあり。
請負業者決定方法を見てくるとわかることがあります。
一般競争入札のように広く業者を募れば公平性、透明性は担保されますが、施工能力の落ちる業者も参加するため、請負業務の履行の信頼性が危ぶまれます。
施工能力が高く確実に履行できる業者を選ぼうとすると、指名競争入札や見積もり合わせ方式が考えらえますが、担当者が恣意的に業者を選び癒着、不正のおそれが出てきます。
どの方式にも一長一短があり、組織としては業務内容に応じてどの方式を採るか考える必要があるでしょう。
一般競争入札の場合は、落札業者にはヒアリングをして、施工能力があるか確認する必要があるでしょう。
指名競争入札や見積もり合わせ方式の場合は、業者選定を担当者まかせにせず、第三者の審査を置くといった仕組みが必要となります。
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